知的障害や発達障害に他の精神疾患が併存している場合どう扱うのでしょうか
平成23年7月13日の厚労省の疑義照会によれば、次の通りになります。
前発傷病 |
後発傷病 |
判定 |
発達障害 |
うつ病 |
同一疾病 |
発達障害 |
神経症で精神病様態 |
〃 |
うつ病 統合失調症 |
発達障害 |
診断名の変更 |
軽度知的障害 |
発達障害 |
同一疾病 |
知的障害 |
うつ病 |
〃
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知的障害
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神経症で精神病様態
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別疾患
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知的障害 発達障害
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統合失調症
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前発疾患の病態として出現している場合は同一疾患(確認が必要)
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知的障害 発達障害
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その他精神疾患
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別疾患
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いくつかの精神疾患が併存している場合
具体的事例
初診日・認定日時点と請求時点で考慮する必要があります。
●いくつかの精神疾患を併発していると診断されている方もいらっしゃいます。
●また、Aクリニックでは双極性障害と診断されていた方が、B病院ではADHDと診断名が変わる場合もございます。
●最初はうつ病と言われていたのに今は双極性障害と診断されている、、、この場合は一般的に診断名の変更となると思いますが、
「あなたはうつ病です。」と診断されていたのに発達検査をして「軽度精神遅滞もあります。」と言われた、手帳の診断書に「自閉症スペクトラム、ADHD」と並記されている。この場合の障害年金の請求はどうなるのか。
→ → → → → →
結局ケースバイケースになります。
当職は依頼を受けた場合、1人1人よく話をお聞きして考えていきます。お医者様に因果関係や意向を聞くことも必要です。
そして請求をどうするか、検討して進めていきます。
●また知的障害や発達障害の方にうつ病が発症することもあります。この場合、同一傷病と扱われるケースが多いです。
●さらに以前精神科をうつ病で受診していたがいったん治り、10年後などに又同じうつ病で精神科に通院している。
→ → → → → →
だいぶ経っている場合社会的治癒という見方も考慮します。
これは障害年金独自の考え方です。
●器質性精神障害やてんかんは又扱いが異なり、場合によっては複雑になります。
●さらに精神疾患の診断書と、他の傷病の診断書を出して上位級を狙ったり(結果すべてそうなるわけではありません)
いろいろ疾患があり、請求してみなければわからないケースもあります。
アルコール依存症の請求は難しいのか
アルコール依存症、アルコール性精神病の請求は難しいと同業の社労士でも言うことがあります。
実感としてはやや複雑という感じでしょうか。
うつ病などの気分障害と混同してしまっているからだと思います。
障害年金を扱う社労士でもおりますが、うつ病とアルコール依存症を併発していると
最初からいっしょくたに考えてしまっているというか、別傷病として取り扱うならば、切り分けて考えなくてはなりません。
●気分障害と、アルコール依存症や高次脳機能障害などの器質性精神障害とは、別傷病として扱われるケースが多いです。
〇逆にアルコールの飲みすぎで膵炎になって、その後アルコール依存症になっている場合、同一傷病と扱われるのではないかと思いますが、ケースバイケースのようで、相当因果関係がはっきりしないのか、精神科が初診日になったりします。
いわゆるマトリックス表について
精神疾患の診断書⑩欄ウ日常生活能力の判定と日常生活の程度を表にし、等級を判断する目安にしたものです。
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日常生活の程度⑸ |
日常生活の程度⑷ |
日常生活の程度⑶ |
日常生活の程度⑵ |
日常生活の程度⑴ |
日常生活能力の判定3.5以上 |
1級 |
1級又は 2級 |
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日常生活能力の判定3.0以上3.5未満 |
1級又は 2級 |
2級 |
2級 |
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日常生活能力の判定2.5以上3.0未満
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2級
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2級又は
3級
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日常生活能力の判定2.0以上2.5未満
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2級
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2級又は
3級
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3級又は
3級非該当
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日常生活能力の判定1.5以上2.0未満
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3級
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3級又は
3級非該当
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日常生活能力の判定1.5未満
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3級非該当
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3級非該当
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国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン平成28年9月 表1障害等級の目安